所得税や住民税を計算するときに「控除」と言われる、一定要件で税金の掛かる金額を差し引ける制度があります。
今回は所得税に掛かる控除、所得控除について解説していきます。
所得控除とは?
所得控除とは、所得税を計算するときに各納税者の個人的事情を加味するための制度になります。
さまざまな理由から各所得の合計額から控除額の合計額を差し引くことができ、所得税はその残りの金額を基礎として計算されます。ですので所得控除をうまく利用することで税金のかかる金額を抑えることができるというわけです。
現在所得控除は14種類あります。
雑損控除
医療費控除
社会保険料控除
小規模企業共済等掛け金控除
生命保険料控除
地震保険料控除
寄付金控除
障害者控除
寡婦(寡夫)控除
勤労学生控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
基礎控除
所得控除の4つの種類
これらは次のような4つの種類に分けることができます。
①税金を負担する力の低下を考慮
雑損控除、医療費控除
②社会政策を考慮
社会保険料控除
③個人的事情を考慮
小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除
④家族構成を考慮
障害者控除、寡婦控除、勤労学生控除
配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
所得控除のその①税金を負担する力の低下を考慮
年によっては思わぬ事故や病気で税金を負担をすることが苦しい場合があります。
そういった場合を考慮して税負担を減らせる控除枠です。
・雑損控除
突然の災害などで資産を大きく減らしてしまうような場合に控除を受けることができます。
・医療費控除
入院をするなど年間を通して納税者本人もしくは同居の家族の医療費が多く掛かってしまった場合に控除を受けることができます。
➡医療費控除については詳しくはこちらを参照ください「年間の医療費大分かかっていませんか?29年度の変更点を踏まえた医療費控除」
所得控除のその②社会政策を考慮
自分や家族の公的年金や健康保険料などの社会保障費を支払った場合にその支払った金額について税負担を減らせる控除枠です。
・社会保険料控除
公的年金や健康保険などの社会保障費に対して控除を受けることができます。控除できる金額はその年に支払った社会保険料全額になります。
所得控除のその③個人的事情を考慮
個人の自助努力で社会保障に代わる準備をしている場合などについて税負担を減らせる控除枠です。
・小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済とは個人事業主や中小企業向けの公的な積立金制度です。これに加入していると掛け金が所得控除の対象となり所得から差し引くことができます。
・生命保険料控除
民間の生命保険会社で生命保険(死亡保険や医療保険、介護保険、個人年金保険など)に加入していると一定の保険料の範囲で控除を受けることができます。
・地震保険料控除
民間の損害保険会社で地震保険に加入していると一定の保険料の範囲で控除を受けることができます。
・寄付金控除
地方自治体や特定の団体などに寄付をした場合に控除を受けることができます。なお、政治活動に関する寄付金や認定NPO法人等に対する寄付金等は所得控除ではなく税額控除を選択することもできます。ふるさと納税はこの寄付金控除の対象となります。
所得控除のその④家族構成や立場を考慮
個人の家族構成や立場に応じて税負担を減らせる控除枠です。
・障害者控除
本人もしくは同居の家族が障害者として当てはまる場合に控除を受けることができます。
・寡婦控除
配偶者と離婚または死別があり、またその後再婚をしていない状態で扶養する家族がいる場合に控除を受けることができます。なお、男性と女性の場合で要件が異なります。
・勤労学生控除
納税者本人が学生である場合に控除を受けることができます。
・配偶者控除
納税者本人に配偶者がいる場合に控除を受けることができます。
・配偶者特別控除
納税者の配偶者に38万円以上の所得があり配偶者控除を受けられない場合にも配偶者の所得に応じて受けることのできる控除枠です。
・扶養控除
納税者に扶養する親族がいる場合に受けることのできる控除枠です。
・基礎控除
一定の所得がある場合に総所得額から差し引くことのできる控除枠です。この基礎控除が摘要できない場合は所得税は非課税となります。
このように控除をうまく利用することで課税される金額を圧縮して税金を削減することができます。要件に当てはまる場合には是非積極的に活用してみてくださいね。